- 所属(Alma Mater)
- 環境・予防医学講座
- 出身大学(Alma Mater)
- 総合研究大学院大学
- 卒業年次(Graduation year)
- 2010年
- 出身地(Home country)
- 静岡県
- 専門(Major)
- 遺伝学、進化学、バイオインフォマティクス
- メッセージ(Message)
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私はピロリ菌ゲノムの系統進化解析を担当しています。ピロリ菌は消化器疾患のリスクを上げるとはいえ、致命的な急性症状を引き起こさず、長期間ヒトの胃の中で生存し続けることから、ヒトへの適応が進んだ細菌だと言えます。ヒトとピロリ菌のつきあいは、現生人類の祖先がアフリカで生活していた頃までさかのぼり、5〜10万年前にアフリカから各地に拡散した人類の胃袋に揺られて、ピロリ菌も世界を旅して来ました。このため、ピロリ菌の系統関係を調べることによって、宿主である人類の足跡が推測可能であり、小さな細菌のゲノムの中に人類の歴史の一片を垣間見ることができます。
ピロリ菌による症状は感染症の中では比較的穏和なものですが、長期にわたる感染の中で癌や潰瘍のリスクを高め、東アジアの胃癌発症率を高める要因の一つとなっています。衛生状態が改善されて平均寿命が延びるにつれ、癌のように高年齢で発症する疾患が問題となります。系統進化解析のみならず、ピロリ菌のゲノムを比較して新たな疾患関連遺伝子を見つけ出し、診断や予防に役立てることを目標としています。